1UP: あなたがスクウェアを退社したのは、最終的に何が切っ掛けになったのですか?
これ以上FFシリーズに縛られ続けるのが嫌だった?それともあなたが個人的にエニックスとの合併を望んでいなかったのでしょうか?
植松: 新宿に移ったんですよ会社が。それがねぇ・・・ウチから遠くなった(笑) それが嫌だったんです。
「新宿」っていう街が嫌いでね、なんかあそこに行くと方向感覚が狂うんですよ。変な嫌な街だなぁ、と思っていて。空気も汚いし人もいっぱいだし。
こんな街は絶対嫌だと思っていたところにスクウェアが行っちゃって・・・。あと目黒(旧スクウェア本社)より遠くなったんで、ウチが多摩川なんで車で一時間以上かかるんですよ朝。
「これは・・・もういいや」と思って。ホントにそれが一番の理由なんです。
植松: もう一つなにかまともらしい事を言うなら、年齢がそろそろ上になってきて会議が増えてきたんですよ。
で、会議ばっかりに時間がとられて作曲が出来なくなりつつあった。
「このままスクウェアに大人しく残って、管理職で一生を終えるのか」それとも「音楽を作るのが好きか」って考えたらやっぱり音楽を作るのが好きなんで、そっちを選んだっていう感じですね。
1UP.comの植松伸夫ロングインタビュー「A Day in the Life Of Nobuo Uematsu」より
植松氏の発言は翻訳じゃなくてインタビュー動画からの文字起こしです。元動画はコチラ(6分~)
スクウェア退社後に植松さん本人の口から退社の理由が語られたのは多分これが初めてだと思うんですが、案外拍子抜けというか。
当時のスクウェアって坂口氏の退社や組織の再編(スクウェアサウンズも分社化→吸収されたり)、インタビュアーも訊いているようなエニックスとの合併があったりして、誌面で見る限りでもゴタゴタしていたので、植松さんの退社もそれの延長線上にあると勝手に想像していたんですが、本人の中では「会社の移転で生活サイクルを崩されるのが嫌だった」というのが一番の理由だったようです。
ただ、気になるのは、その大元になったスクエニ新宿移転の理由。
1UP: そもそも、なぜスクウェアは新宿に?
例えばコナミなんかは、森タワーや東京ミッドタウンや、その時々の流行スポットに社屋を移転する傾向があるようですが・・・。
植松:あれはね、目黒から移ったのは占い師さんに言われたんですよ、和田(洋一)社長が。
台湾のパオさんという占い師さんに「ここは良くない」と。(目黒)雅叙園がね。
だから和田さんが持って行った幾つかの候補地の中から、「新宿のココにいったら良い」って言われて・・・。これはホントに和田さんから聞いたんですよ、本人に。
1UP:つまり、スクウェア・エニックスは占い師の言う通りにした結果、最も重要な所属作曲家を失ってしまったという・・・それってちょっと笑えない話ですね。
占いねぇ・・・。要するに風水的なことなんだろうけど、それに振り回される社員さんはたまったもんじゃないよなぁ、と。
まぁ合併で本社機能を移転する事は前々から決まってたんだろうし、最近のスクエニは業績好調なので結果的には良かったんでしょう。
でもインタビュアーの人も「スクエニが(FFの)スピンオフ作品を乱発しているのも、その占い師のせいですか?」的なことを言ってますが、現在のスクエニの方向性に違和感を感じる者としては、正直あまり気持ちの良い話じゃないですね。
// 方向性が嫌なだけで、個人的にはスクエニは相変わらず好きなんですけどね。FF12も全肯定ですよわたしゃ。
このインタビューでは他に、スクウェアに入る前の話、坂口博信氏の男気の話、海外コンサートの話、「スーパーマリオは国歌」発言(ニコ厨なので吹いたw)等々、色々と面白い話が飛び出しているので、インタビュー動画(1,2,3,ex)を見るか、光学冥彩さんのまとめも参照して下さいな。
1UPは前に崎元仁氏にもインタビューしてましたが、この調子で作曲家インタビューを続けてくれると嬉しいですねぇ。1UPの中でも結構人気ある特集みたいだし(このインタビューなんかはBoing Boingにも取り上げられてましたよ)